会社経営をしていると様々な悩みがあると思いますが、経営者が頭を抱える問題の1つとしてよく挙げられているのが「離職率の増加」です。
離職率が上がると生産性の低下をはじめ、穴を埋めるための採用にかかるコストや時間も会社にとって大きな痛手となるため、どうにかしたいと考える経営者も多いようです。
今回は、離職率が上がる原因とその原因に対する離職防止対策についてお話します。
離職率が上がる3つの原因
厚生労働省や大手就職サイトなどの調査では、「会社・労働環境への不満」と「職場の人間関係」が離職理由の大半を占める結果になっています。
そこで、より詳しく離職原因について知るために、離職率が上がる原因として代表的な3つの原因を取り上げました。
原因 1 想像していた仕事と現実とのギャップ
特に若い社員の離職理由として挙げられやすいと言われている問題です。
厳しい就職活動を経て入社したものの、希望とは違う部署に配属される、華やかな仕事とはかけ離れた雑用ばかり・・・というように、理想と現実のギャップに直面してやる気を無くしてしまうケースです。
さらに、理想と現実のギャップが埋まらない状態がずっと続くと、自分の成長や将来性が見通せずに、不安や限界を感じて辞めてしまう人も少なくないようです。
原因 2 残業や福利厚生などの労働環境問題
「労働環境に対する不満」は人によって問題視する点は異なりますが、代表的な問題としては
- 仕事に見合わない低い給料
- 福利厚生、社内制度が不十分
- 残業が多い(オーバーワーク)
などがよく挙げられています。
入社前に聞いていた労働環境や待遇と違ったり、福利厚生制度や社内制度が制度として不十分だったりすることで、会社に対する信頼感だけではなくやる気の低下にも繋がってしまううため、離職の原因になりやすいと言われています。
原因 3 上司・職場の人間関係
大手就職サイトなどの離職に関する調査で、離職理由として最も多く挙げられるのが「上司・職場の人間関係」です。
特に多いのが、「上司からのモラハラ・パワハラ」で、「同僚・後輩とうまくいかなかった」もよく挙げられています。
上司からのモラハラ・パワハラなどは、上司自身は良かれと思ってやっていることが裏目に出てしまっていることも多く、コニュニケーションが上手く取れていない点も問題となっているようです。
働く上で人との関わりは避けては通れませんし、人間関係は自分だけが努力して改善しようにもどうにもならないという場合があることから、離職の大きな原因になりやすいのかもしれません。
3つの原因に対するそれぞれの離職防止対策は?
原因がわかっただけでは、離職率を上げる防止策にはなりません。
原因を把握した上でどうすれば良いのか対処方法を考えてみましょう。
原因1の対策 仕事の必要性や今後のステップアップを明確に提示!
想像していた仕事と現実のギャップを埋めることも大切ですが、今の仕事が自分の成長のためにも必要だということを理解してもらう必要があります。
そのためには、今の仕事がこれからのステップアップにどのように繋がるのか、今後の見通しを明確に提示することが重要です。
また、会社側は企業説明会などの際に、仕事の華やかな面だけではなく、希望部署とは異なる部署で働いたり、地道な作業をしたりすることが成長やステップアップに繋がることの重要性をしっかりと理解してもらえる説明をするように心がけましょう。
事前に説明しておくことでギャップも発生しづらくなり、理想と異なる仕事に対してもプラスのイメージに捉えやすくなると言われています。
原因2の対策 労働環境問題は社員の意見にしっかり耳を傾ける!
社員からの改善意見などに対して「どうせ無茶な意見だろう」「意見を聞いたところで改善したくてもできない」などの理由から、意見を聞き流してしまう会社は少なくないようです。
確かに、社員の意見を全て受け入れることは難しいですが、きちんと話しを聞いて「これは無理だけど、これならできる」というように、代替案やできるだけ具体的な改善策を提示することで、完璧な改善はなされなくても会社への信頼度が上がる、という意見を耳にすることがあります。
また、最近では福利厚生制度も様々なものがあり(1記事目のリンクを貼っても良いかもしれません)、独自の制度を取り入れる会社も増えてきています。
単に新たな制度を取り入れるのではなく、社員の意見に耳を傾け「社員のニーズ」に合った制度を取り入れるのがポイントです。
原因その3の対策 人間関係はお互いを知ることが重要!
「初対面で気が合わないと感じた人でも、いざ中身を知ってみると意外と面白い人だった」、ということがあるように、仕事でも相手をよく知ることで人間関係が改善されることがあります。
例えば、
「いつも冷たい態度だと思っていた上司が、自分の仕事をしっかりと認めてくれていた。」
「雑用ばかり押し付けてくると思っていたけれど、自分の成長に必要な仕事だった。」
など、相手がどのような人間なのか、どのような考え方で仕事をしているのかを知ることで、人間関係のトラブルを防いだり和らげたりすることができる場合もあります。
会社側は育成者や管理者のマネジメント教育だけではなく、社員同士がお互いを知ることのできる機会や場所を設けるなどして、円滑なコミュニケーションが取れる環境を作ることが大切です。
まとめ
今回は代表的な3つの離職原因を挙げましたが、実際の離職原因は他にある場合もありますし、原因への対処方法についてもこれが最善だと言うものではありません。
離職率を下げるためには、それぞれのケースの問題点を正確に把握することがとりわけ重要だと言われています。
また、辞める社員が悪いと責めるのではなく、会社側も社員の意見をしっかりと受け止め改善策を考えなければいけません。
そして、会社と社員が改善に向けて一緒に取り組むことが、信頼関係の構築や労働環境の改善のために何より大切なことなのではないでしょうか?