福利厚生の現状。中小企業が福利厚生を充実させる方法は?
最近では、企業が自社の特色を生かしたユニークで魅力ある福利厚生を導入し、各メディアで取りあげられ注目を集めています。
しかし、そのほとんどは大企業であり、中小企業など規模があまり大きくない企業では、福利厚生に関する費用負担が大きく、現状をどう維持するかで悩んでいる会社も少なくないようです。
そこで、今回は福利厚生の現状から中小企業が福利厚生を充実するための方法についてお話していきます。
全体的に見ると法定外福利厚生は削減傾向に
大企業ではユニークな福利厚生の導入が話題になっているのも事実ですが、実際は大企業や中小企業にかかわらず、法定外福利費の削減が進んでいます。
削減が進んでいる主な理由として次の2つが挙げられています。
・「ハコもの」から「ヒトもの」への変化
・社会保険料の値上げに伴う「法定福利費」の負担増加
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
「ハコもの」から「ヒトもの」への変化
次の表は、厚生労働省が実施した平成18年・28年の就労条件総合調査から、法定外福利費全体における「住宅に関する費用」と「健康保健に関する費用」が占める割合を抜粋したものです。
平成18年 | 平成28年 | |
---|---|---|
住宅に関する費用 | 49.9% | 47.3% |
健康保険に関する費用 | 6.7% | 13.4% |
参考:厚生労働省 就労条件総合調査平成18・28年
この表から次のことがわかります。
・「住宅に関する費用」は法定外福利費の半分近くを占めている。
・「住宅に関する費用」は減少傾向にある。
・「健康保健に関する費用」は増加傾向にある。
以前は、保養所や社員寮・独身寮などの施設系、いわゆる「ハコもの」を従業員に提供できるかどうかが、法定外福利厚生の良し悪しとされている部分がありました。
しかし、法定外福利厚生の半分を占めていることからもわかるように「ハコもの」は維持や運用に莫大なコストがかかります。
そのため、コスト削減のために施設などを手放し、代わりに従業員個人の自己啓発や健康に関する福利厚生「ヒトもの」に力を入れる企業が増えている、というのが現状です。
社会保険料の値上げに伴う「法定福利費」の負担増加
法定外福利費が削減傾向にある中、法定福利費は増加傾向にあります。
増加傾向にあると聞くと、手厚い待遇になってきているように思えますが、これは社会保険料の値上げによるものです。
“少子高齢化に伴う厚生年金保険、健康保険等での料率上昇によって事業主負担が継続して増加してきたことに加えて、退職給付費用が90年代以降、急激に膨張した。この強制力をもった両者の負担増が裁量性の費用である法定外福利費の圧迫要因となり続けてきた。”
『福利厚生の現状と今後の方向性』西久保浩二(山梨大学教授)から引用
このように社会保険料の負担は今もなお増えており、これに伴い会社側が負担する保険料も増え、結果として法定外福利費削減へと繋がっています。
少子高齢化社会がすすむ中、今後もさらなる負担増加が予想されるため、どの企業も法定外福利厚生の導入や充実にはあまり前向きになれないのが現状のようです。
中小企業の法定外福利厚生は大企業の2分の1以下
下の表は厚生労働省が調査した企業規模別の1ヶ月1人当たりの法定外福利費の平均です。
従業員数(企業規模) | 法定外福利費(1人1ヶ月平均) |
---|---|
1000人以上 | 9,237円 |
300~999人 | 5,858円 |
100~299人 | 4,963円 |
30~99人 | 3,883円 |
参考:厚生労働省 就労条件総合調査平成28年
注目したいのは、従業員1000人以上の企業の平均法定外福利費が9,237円であるのに対し、従業員30~99人の企業では3,883円となっており、中小企業の法定外福利費は大企業の2分の1以下であるという現状です。
福利厚生全体の予算を考えると、大企業と中小企業では法定福利費が占める割合が大きく異なるため、法定外福利費の支払い額においてもこのような差が生じてしまいます。
中小企業の福利厚生は福利厚生代理サービスで充実!
このような大企業との差を埋めるのは大変厳しいですが、「福利厚生代理サービス」を利用することで、中小企業でも予算内で現状より魅力的な福利厚生の導入が実現しやすくなります。
福利厚生代理サービスとは?
福利厚生代理サービスは、福利厚生の導入や運営を外部委託することより比較的安いコストで福利厚生を充実させることができるサービスです。
「福利厚生を導入したいけれど人手や運営するノウハウがない」、「会社と従業員が求める福利厚生が一致しない」など、中小企業でよく見られる福利厚生に関するお悩み解決の手助けをしてくれます。
福利厚生代理サービスは非営利団体と民間の2つ
福利厚生代理サービスは、大きく分けると民間企業が行っているものと非営利団体が実施しているものがあります。
どちらもサービス内容は、基本的な健康保健や慶弔見舞金をはじめ育児・介護の分野などを扱っていることが多いですが、それぞれに次のような特徴があります。
民間の福利厚生代理サービス
民間の福利厚生代理サービスは、それぞれの会社の特色やノウハウを生かした福利厚生サービスを提供しています。
提供しているサービスの種類も多く、全国のサービスを幅広く利用することができるのが特徴です。
非営利団体の福利厚生代理サービス
非営利団体の場合は民間サービスより会費が比較的安く、市町村が運営に関わるケースも多いため安心して利用できることが特徴です。
「ハマふれんど」もこの一つです。
地域との繋がりが強いサービスになっているのも特徴で、「ハマふれんど」を例に挙げると、横浜がホームになっているスポーツチームの試合観戦補助を実施するなど、地域の魅力を生かしながら中小企業の福利厚生を充実させる制度を実施しています。
まとめ
少子高齢化に歯止めがかからない現状ですので、法定福利費の負担は後も増加することが予測されます。
このような状況の中で、従業員の福利厚生を充実させ、労働に対するモチベーションや定着率を上げることは中小企業の大きな課題となってきます。
一方で、現在ではたくさんの代理サービスがありますので、自社の要望や予算に合った福利厚生サービスの導入はそこまで難しくありません。
諦める前に代理サービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか?